佐々木の夢。

いつからか、時々佐々木が夢に出て来る。佐々木というのは私の小学校の同級生。

彼とは不思議な思い出がある。
小学校に入学したばかりの頃、初めて放課後に遊んだのが佐々木なのだ。
私は小学校に上がる時に引越しをしてその地域に住み始めたので、保育園からの友達はいなくて、真っさらな状態だった。
(もっとも保育園には友達と呼べるような子はいなかった)

集団下校をしていて、なんでかわからないけど佐々木が後で迎えに来るからと言って、しばらくすると黄色い自転車に乗ってやってきた。
それからまた近所の男の子と待ち合わせをしていて、
三人でまた別の同級生の家に遊びに行った。
というか、
皆は当然のようにしてて、
私だけ何がなんだからわからないままだった。

そして男子たちはスーファミ(←私の時代はこれ)を始めて、
私には全くゲームさせてくれず、私もやりたいとも言わず座っていただけだった。
途中でおばちゃんがカール(いやサッポロポテトだったかも)をお皿に入れてくれて差し出してくれた。
「早く食べないと取られちゃうわよ。」とか何とか言われたけど、案の定みんな、ゲームをしながら手探りでお菓子をポリポリしてあっという間になくなった。
私はかろうじて2つくらいは食べたかな。

よくわからないけどそのまま、特に話もしないで解散になった。それ以来特に遊びに誘われた記憶も無い。

でも佐々木は何かにつけて私の家の前をうろうろしていることがあった。気がする
うちの母がミニクーパーを買った時にはかっこいいなぁと言って嬉しそうに見ていたのも覚えている。


でも高学年になってから彼は何だか偉そうになっちゃって、
感じ悪い印象しか無い。

彼がマウンテンバイクのようなカッコイイ自転車に乗るようになった頃、私は全身紺色のシンプルな自転車に乗っていて、

町で出会って「へへ、ママチャリかっこいい〜」なんて言われたのもなんか覚えている。


話が長くなったけど、
数ヶ月に夢に初めて出て来た時にはびっくりした。
それから、
卒業以来会ってないけどどうしているんだろう、と時々彼のことを考えるようになった。
たまに本気で気になって、
どこにいるんだろう?
私のこと覚えているかな?
誰かに聞けばわかるかな?
とイライラと考えこむこともあった。

そしてまた忘れて、
また夢に出て来て思い出しての繰り返し。

佐々木は中学から他県の進学校に進んだ。寮に住むとか言っていたっけ。
本当に卒業式以来会っていない。


いつぞや、
「佐々木が帰って来てるんだって!」という話を聞いたけど、
その時の同級会には行かなかった。


特に気にも留めていない存在だったのに、
(特に卒業前の彼の姿がまるで浮かばない)
なぜ最近になって自分の奥底の記憶から夢によって思い出し、会ってみたいと思うのだろうか不思議である。


昨日の夢では、私の恋人と佐々木と、もひとり私の小学校の友達のアンドウさん(この子のことも久々に思い出した!)が出て来て、
何故か私は泣いていた。
久々に会ったはずなのに佐々木は全く変わらず軽薄な感じだった。というか小学生の頃の顔のままだった。

そしてここから支離滅裂なのだけど、
「また明日のパーティーで会うんかな」と言って、私は何のことか分からず、佐々木と別れてからアンドウさんにパーティーのことを聞くと、
「わりとフォーマルな感じだからえみりにはちょっと…」とたしなめられて、
「あぁ、セレブな感じね!じゃあ私は遠慮するわ!」と言った(笑)。


それで明日は行かないということを佐々木に言いに行った。ような気がする…そこで夢は終わった。

とにかく寂しい夢だった。
私の恋人はただ居るだけだった。


佐々木は私の初めての友達だったと思う。
佐々木が心に登場したということは、
最近私は、先のこと、自分がどのような身の振り方をするかを真剣に考えているから、
きっとあの頃の自分を呼び起こしたいという願望からきているのかなと考えた。

小学校が大好きだった。
中学になると女子の派閥とかめんどくさくなるのが、
小学校には何も隔てが無くてのびのびとしていられた。


私は中学に上がると同時にまた引越し、
数人の同級生とは高校で再会した。

佐々木はきっと東大でも行っただろうと勝手に予想している。
それは単に小学校の頃彼と仲のよかった男子が東大の医学部に行ったと聞いたからってだけ。
多分もう会うことは無いに等しいけれど、
心の中に現れて少し私を困らせて、わくわくさせる友達。
黄色い自転車に乗った初めての友達。


大企業に就職したかな?
それともお医者さん?
それとも?

とにかく元気でいてくれたらと思う。